それから1ヶ月、遠山にとっては幸せの、柴田にとっては忙しい日々が始まっ た・・・。 「ええか?東大ちゃん。推理の教官も頼んだけどな、東大ちゃんは、ワイの彼 女や。」 「ええ〜っ!?本当ですか?そんな・・・。いつの間に・・・?」 「ちゃうちゃう!!!正確には、フリや。フリ。来月やろ?会合。ったくも う。そのための練習や。急にやると、東大ちゃんのことやから絶対にとちるや ろ!?」 「そっ、そんなこと・・・、」 「ある。ずぇ〜ったいにある!おおいにありえる可能性や。せやから、練習 や。ワイは、東大ちゃんのことを呼び捨てにするで。何せ、彼女やからな。ン ンッ・・・!じゃ、東大ちゃんは、僕のことを何て呼ぶのかな?」 緊張しているのか、いつもの口調ではなく「わい」から「僕」になっている。 「え、え〜と、その前に、金之助さん。こんな事をして、私の未来の旦那様は 怒らないでしょうか?」 「金太郎やっちゅうてんねん!・・・、ったく。旦那様ァ!?大丈夫に決まっ てるわ!人助けやで?逆に喜ぶっちゅうねん。」 どうでもよさそうに答える遠山。しかぢ、それを間に受けるのが柴田である。 「本当ですか?じゃあ、張り切っていきましょう!・・・で、私は何をすれば いいのですか?」 「っかぁ!!!聞いてなかったんかい!!東大・・・、いや、ちゃうがな。純 は、わいの彼女のふりをする。その理由は、簡単に言えば来月の会合の為や。 推理があるかもしれへんから、その指導も頼んます、ちゅうこっちゃ。分かっ たか?」 「・・・。ああ。そんなこともありましたね。ええ。分かりました。柴田純、 頑張らせていただきます!で?」 「また聞いてなかったんか。ったく。己を突き進むっちゅうか。なんちゅう か。ほんま、かわええなぁ・・・。」 思わず声に出してしまったらしい。 「え?何か言いました?銀太郎さん?」 という純の問いかけに対し、顔を赤くし、声を裏返しながらも、何でもないこ とを強調して答えた。 「そんなことより、おまえは、わいをどう呼ぶんか聞いとるんや!!もうええ わ。わいが決めればすむこっちゃ。そうやなぁ。オーソドックスに金太郎さ ん″や。ええか!?ちゃんと呼べよ?わいの一大事や。しっかり頼むで?」 「まかせて下さい。この柴田純にドドーンと!」 「・・・・・・。それが、信用できないっちゅうねん。」 この日、真山が非番だったのは天の救いだった・・・!本当に心からそう思う 野々村と近藤であった。なにせ、このやりとりは、いつもの柴田と真山のやり とりのようだったからである。遠山は心底嬉しそうであるし、柴田はあいかわ らずのおっとりとした言葉づかい。 彼が見ていたら、機嫌が悪くなる一方であっただろう。そして、そのことに柴 田が気づく事はまずなく、遠山も、柴田とのやりとりに夢中でこれまた気づか ない。唯一とめられるのは木戸だが、彼女が止めるわけはない。自分たちは、 無理であることはよく分かっている。ホッと安心し、お互い目があったので、 良かった〜っという笑顔を互いに浮かべて仕事に戻った。これを除いていた木 戸だけが、今日の非番に不服だったようであるが、このやりとりを見てにんま りした事は確かであろう・・・。![]()
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