貴方の為なら、私は。 「この任務についてもらいたい」 見せられたのは一枚の書類。 私の返事は、もちろん決まっている。 「分かりました」 「いつもすまないな」 ほんの少し眉を下げて笑う上司に。 「いえ」 と返すこのやり取りも、もう慣れたもの。 「では、急ですまないが準備が出来次第向かってくれ」 「はい」 そして、踵を返そうとした瞬間。 「忘れていた、ちょっとこちらへ」 そういう大佐の下へ近づいた私に彼は。 「今回は、本名でいいかい?」 と耳元に囁いた。 私が出来るのは、そんな貴方に拳銃を突きつけることだけ。 照れ隠しだという事は、この男にはもうばれているだろうけれど。 「いってまいります」 「ああ」 彼は、決して”気をつけて”とは言わない。 ”無事に戻ってくるように”とは言わない。 それは、私が必ず戻る事を前提としている事だから。 でも。 貴方の為なら、私は。 この命を投げ出したってかまわない、と。 そう思っていますから。![]()
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