どうして泣かないの?と聞いたら。 俺の分、中尉が泣いてくれたから。 と。 12.バイバイ 「ねえ、中尉」 私が一頻り泣き、落ち着いたころ。 「どうしたの?」 多分、目も鼻も赤い。 けれど、なるべく笑うようこころがけるようにした。 「俺、言った方がいいかな」 「何を?」 「大佐に告白」 「自分が女だって?」 言ってほしいと思う。そうすれば、彼はこの子を全力で守るだろう。 でも、それを望んでいないのだ。 この子供は。さっきあれほど言ったではないか。 自分の淡い期待をつい、こぼしてしまった。 ありえないと分かっていながら。 ふっと、エドワード君が笑った。 歳相応の笑みではなく。 「言わないよ」 さっき、言ったじゃないか。 「でもさ、自分の気持ちだけでも伝えた方がいいかなって」 俺、大佐好きみたいだから。 「っていうか、正直この気持ちを持ってるだけってのが限界なだけなんだけど」 体のないアル。 それでも、俺の幸せを願ってくれる愛しいたった一人の"イキテイル"家族。 「一回くらい。今回だけだからさ。幸せっていう見返りを求めてじゃなくて」 俺は、そうしないと先に進めない。 永遠にここで迷宮をさまようわけには行かないんだ。 こんな思いを持ち続けたら、きっと俺が女だってばれるだろう。 だったらいっそ。 "男"のエドワードとして。 「本当にいいの?」 それは、貴方のためじゃなくて、アルフォンス君のためになってしまうわよ? そう問うと。 いいんだ、どっちにしろカタはつけなきゃいけない問題だったんだから。 せめて、彼に1つだけ本当のことを告げようと。 中尉の涙を見て、そう思ったんだ。 とは、彼女のまえでは言えなかったけれど。 next:13![]()
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