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それだけでよかったんだ。


































昼休み。蜜柑は、大好きな蛍と隣に座れて顔を緩ませていた。


「なぁ、ほた・・・」


にっこりとしまりのない顔でそういいかけたのだが、それは廊下から


の音によって最後まで紡ぎ出されることは無かった。





「ちょっと!!!」


ガラッ、と扉を開けて飛び込んできたのは正田。


「ウチと蛍の愛の時間をじゃまするんっ!?」


そう食って掛かった蜜柑だが、


「五月蝿いわね、それどころじゃないのよ!!」


と怒鳴られ、教室の隅でのの字を書いている。


そんな蜜柑の首根っこを掴み、自分のとなりに座らせながら蛍は尋


ねた。


「どうしたの」


蜜柑は、蛍にべったりとくっ付いている。


ルカは、少々眉をよせ、そんな光景を悔しそうに蛍を見ていた。







「棗君がいないの!!」








「鞄はあるわよ」


と蛍。それに首だけで相槌を打ち、


「うん。さっきまではいたよ」


と流架。


ついさっきまで、一緒にお昼を食べていたのだ。


ちょっと出かけてくる、と言っていたし、朝、鳴海先生が昼に集まりが


あると言っていたから、てっきりそこに行ったものだとばかり思ってい


た。


しかし、さぼりは彼にとって無いとは言い切れないもの。


一体、何がおかしいのか。


「今日は、会議があるのよ!今まで、何だかんだいっても最近は休


んだ事ないのに!!ま、そんなところも素適なんだけど。って、そうじ


ゃなくて!!!」


自分で自分に突っ込む正田を、心読みが馬鹿だなぁ、と一喝し。


うるさいわね、と負けじと言い返した後に、正田は辛そうに呟いた。


「前の棗君って、こういったことには出なかったのよ。次の日に、たく


さんの傷を作ってたわ。今でこそ、私とも少しは話してくれるようにな


ったけど、その当時は流架君だけだったんだから」


もう、あんな棗君、みたくないのよ、そう付け加えて。











はぁー・・・。









ため息をついたのは、蛍。
















ぐぇっ・・・!












奇妙な声を出したのは、蜜柑。

















「な!何すんねん蛍!!!死ぬかと思ったわ!!!」


ゼイゼイと荒い息をしながら叫ぶ蜜柑に。


「アンタなら大丈夫よ」


と軽くあしらい、


「棗君を探してらっしゃい」


と言った。


「何で、ウチが・・・」


渋る蜜柑に、蛍が放った一言は、ぐうの字も出ない完璧なもので。


「パートナーでしょ」


まあ、一人じゃどうなるか分からないから、そう言ってちらりと流架を


見て、


「この子を連れて行くといいわ」


と付け足した。


驚いたのか、目を開いている流架に、蜜柑にはばれないよう、蛍が


囁く。



「棗の馬鹿があの子に変なことしないか見張っててちょうだい」


そして。


「ほら、とっとと行け!!」


と、教室から蹴り出した。
















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