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遅い。

遅い、遅い、遅い。












1.1番 

















生放送ってのは、いろいろ面倒なのは分かってるんだ。

終わった後の打ち上げとか、プロデューサーに挨拶するとか。

俺だって、やってるんだからわかっちゃいるんだ。



だが、根本的に嫌いな奴を待たなきゃならない時間というのは、どうにも腹の立つこと
だと思う。











基本的に、生番組の後というのは、ファンや追っかけが表をうろうろしているからすぐ
に表には出ない。

その代わり、芸能リポーターっつうモンもついてくるが。

アイツは、仮にも今ナンバーワン俳優だから、結構遅くまで残っているんじゃないかと
思う。

悔しいが、あの身長と足じゃ、すぐにばれちまうからな。

生番組でよかったのかもしれない。




以前、何かの番組で競演したとき、奴はこの休憩所で休んでいたはずだ。

俺が、その横を素通りしたとき、挨拶もしやがらなかったから覚えてる。

ああ、胸糞わりぃったらありゃしねぇ。


ここは、この放送局の中じゃ人の来ない穴場だ。

ああいう男は、絶対に終わった後に絡まれるから必ずここに来るに違いない。







いつまで、待たせんだよ。






つい、零れるのはいない相手への不満。

約束をしたわけでもない。

話す義理もない。



けれど、俺なりのけじめがある。











ふう、とため息をついて天井を見上げたとき。


カツ、と靴音が聞こえた。

視線を向ければ、案の定あの男が歩いてくるのが見えた。





もしものために持ってきた連絡先は、どうやら必要なかったようだ。




























「よお」

ちらり、と視線を向けた後、そんな人物は見なかったとでも言うように立ち去ろうとす
る男。

挨拶位しろよ、マジで。

だが、ここで俺が切れれば話も何もあったもんじゃない。

むかつくが。

俺は、椅子に座ったまま話しかけた。




「なあ、敦賀サンよぉ」

「何だい?ええと、不破君、だったかな」

「ちょっと、話があんだけど」


にやり、と笑って立ち上がる。


「俺にはないが」

そう返す男に。
















「アイツの事でもか?」


と。













決して名前は出さないが、誰だかすぐに分かるように。








逃がさないように。











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