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「敦賀さんの、馬鹿!!」

白いドレスを着た新婦は、この後に及んですねている。

「何を言うんだい?キョーコ」

言いたい事は分かっているが、あえて聞いた。

「だって・・・」

「今日は俺たちの結婚式じゃないか」

「私は、着物がいいって言ったじゃないですか!!!

それに、こんなに盛大じゃなくていいって・・・」

「ああ、ごめん。俺が着てほしかったんだよ。ドレス。

以前に着物は見ているからね」

分かっているよ。君かこういうことを好まないと言う事を。

質素でいいと以前から言っていたのだから。好きな人と祝え

ればいいと。その言葉は、結婚する時になってすごく嬉しか

ったことを覚えている。



「そういう事じゃなくて・・・」

「分かってるよ。でも、許してほしいな。俺の最初で最後の

我侭だから」

俺だって、できるならそうしたかったさ。こんなにきれいな

彼女を見せびらかすようなおろかな男じゃない。しかし、立

場上、こうするしかないんだよ。君はよく分かっていないか

も知れないけれど。他の男を牽制する手段としては有効かも

しれないが、そんな理由で盛大にするのも馬鹿馬鹿しい。彼

女の要望も聞き入れたかったし。まあ、ドレスを見たいのは

本心なんだけれどね。今着ているふんわりとしたシンデレラ

に出てくるようなどれすもよく似合っているけれど・・・。

そんなことを考えていたら、彼女からさらに頬が緩むような

言葉が返ってきた。


「そんなの、当たり前じゃないですか!!結婚式なんて一生に

一回きりなんですから!!」

それは、一生俺と付き合うと言う事。君の言葉一つで、どんな

に俺の感情が動くのか、分かっているのだろうか。

「大丈夫。二次会は着物で出ていいから」

君の希望にこたえるために、俺が頑張っていた事。

「二次会?」

「そう。社長、マリアちゃん、社さん、琴南さん達が祝ってく

れるそうだよ」

身近な人たちが俺たちのためだけに、俺たちの幸せだけを願っ

て開いてくれる会。これから行なわれる、さまざまな取引が一

切無い、君の思っているとおりの祝い事。

だから、こっちで着て欲しかったんだ。着物を。

もちろん、ドレスも着てもらうけれど。やはり、お色直しが必

要だからね。二次会はすべて俺のプロデュースした服だから。

気に入っているのは綺麗な体のラインが映えるドレス。彼女に

よく似合うという自信がある。

楽しみだよ、本当に。一回で二回分の幸せをもらえるんだ。

「本当に?」

やっぱり嬉しそうだ。俺はこの顔が見たいがために頑張ってき

たんだと、改めて確信した。

「ああ」

「私って幸せ者ね」

「そうだよ、何て言ったって俺の妻になるんだから」

君の言葉が嬉しくて。照れ隠しでそう言った。そうしたら。

「そうね。私は世界一の幸せ者ね」

と。なんでもないようにさらりと返された。こんなことを素で

言われてはこっちの心臓が持たないよ、全く・・・。だから、

負けじとこう返した。

「いや、世界一だね」

その言葉を聞くと、驚いたように目を開き、顔がほんのり桃色

になった。そんな彼女を見て俺も微笑ましくなる。そしてそん

なお互いを見て、二人でクスクスと笑いあった。




その時、お時間です、と声がかかる。



「行きますか」

「はい、敦賀さん」

なぜ、今になってこう呼ぶのか。気になって聞いてみた。

「もう、君も敦賀になるんだよ?」

「ええ、だから最後に貴方をそう呼ぶんです」

そういうことか。では、俺も初心に返るとしよう。

「そうか。では参りましょう、最上さん」

「幸せになりましょうね、敦賀さん」

「もちろん。君さえいれば」







ここからまた、新しい俺たちが始まる。










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