彼女が何を演じるのか、俺にはさっぱり分からない。 パンフレットをもらって初めて知った。 どうやら、恋愛事件モノのようだ。 まあ、今、はやりだしな。 俺は、席につこうと歩きながらそのパンフレットを眺めていた。 それにしたって、凄い役だな。 鍵のない鳥篭‐3 彼女の役は、準主役といった所だろうか。重要な人物の一人である。 この話を務める主人公は、若手の女優。幼馴染役の俳優もまだ駆け 出し。しかし、業界の中では期待のかかっている人ばかりがそろっ ていた。きっと、彼らの度胸試しのために設けた舞台なのだろう。 小さな会場ではあったが、結構な盛況ぶりだった。監督やプロデュ ーサーの姿も見える。 ばれないようにしないと、そう思って帽子をかぶりなおした時、声 をかけられた。 「お、敦賀君じゃないか」 さっそくか・・・ 「お久しぶりです、監督」 以前、ドラマの撮影でお世話になった監督だった。 「君も来てたのか」 「はい」 そうか、と笑顔でうなづく。 「私はね、以前この主演の子と縁があって、その子にもらったんだ よ。君は、あの相手役の俳優君かな?君にあこがれてたみたいだか ら」 そう続ける彼に、何のことだかわからず、聞いてみた。 「これって・・・」 「ああ、これは社長の提案らしくてね。今回出ている出演者が来て ほしいと思う相手にだけチケットを配る制度らしいんだよ。なんだ い?あの子、説明しなかったのかい?」 「・・・ええ」 「まあ、緊張していたんだろう。大目に見てやってくれよ。憧れの 大先輩の前だったんだろうからな」 じゃあ、また何かの機会があったら頼むよ、そういって監督はじぶ んの席に戻っていった。 聞いてないよ、最上さん・・・。 でも待てよ、ということは。 そう思って周りを見ると、案の定。 社さんがいた。マリアちゃんも琴南さんも、社長までいる。 ・・・謀ったな? 義理の堅いあの子が俺だけを誘うはずがないじゃないか。 そう思ったものの、後の祭り。 後で、覚えてろよ・・・ そう誓った俺だった。 幸せだった主人公‐笹川夢野。幼馴染の津田哲平とも仲がよく、毎 日が幸せだった。しかし、ある日、放火により全てを失う。知り合 いの家に預けられたあげく、たらいまわしにされ、最終的に彼女が 行った先は孤児院。そこで、一人の少女‐桐嶋巴と出会う。それが、 全ての原因、彼女だったとも知らずに―――…。 こんな出だしで始まった物語。 役者も、初めは緊張していたようだが次第に口調もなじんでいった。 どれほど練習したのか。 引き込まれていく。 「ねえ、あの子は?」 「あの子も最近入ってきた子なのよ。夢野ちゃん、仲良くしてあげ てね」 そして、巴に近づく夢野。 「と、もえ・・・ちゃん?」 そう声をかけた夢野に。 振り向いたその姿の儚さ。 町で歩いている巴を見かけて声をかけるシーンで、隣にいた男を見 て驚いた夢野。 「え、・・・哲平!?」 「夢野!?」 「夢野ちゃん、知り合い?私の彼なの」 明るい笑顔で説明する巴。いくらか会話をした後、分かれるが、そ のとき一瞬だけ見せた妖艶な笑み。 全てが巴の仕組んだことだと分かったとき。 「アンタの父親がね、私の両親に何をしたのか分かってるの?」 夢野に近づきながらまくし立てる表現。 「貴女が殺したの・・・?」 「そうよ。ずべては今日の貴女のその顔を見るため。楽しかったわ、 哲平もすぐに騙されて」 「お前、最低な女だな!」 「最低で結構よ。最高のほめ言葉よ」 悪魔のような台詞。 本当に背筋がゾッとした。 「アハハハハハッ!本当にいい顔ね。ウットリするわ」 その狂った女としての顔。 俺は、この舞台を通して、彼女がどれほど力を付けたのかを知り。 そして。 手放してなるものか、と思ったのだ。 すべての表情を、俺だけのものにしたい。 少女のように屈託なく笑う顔も。 女としてのあの妖艶な顔も。 "手放してなるものか"? 俺のものじゃないだろう? ああ。 社さんの言っていた通りだ。 女の子の成長は、本当に早い。 ぐずぐずしていたら、他の男に掻っ攫われる。 俺は、あの子が大切なんだ。 いや。 好き、なのか。 そして、今まで彼女の言葉に対して腹を立てていたのは、自分に対 しての思いがなかった時ばかりだという事に気付き。 どうやら俺は嫉妬深いらしいことも発見したのだった。 さて、これからどうしようか? まずは誘ってくれたお礼をしてこないと、な。 覚悟はいいか?最上キョー子。 俺がただ一人認めた女だ。 本気で仕掛けるぞ。 ――――――――――――――――――――――――――― チャコさんのリクは、 "成長するキョー子を見て自覚する蓮。最後は甘々。" との事だったのですが、甘・・・? きゃぁぁぁっ!ごめんなさい・・・。次の続編では必ずや 蓮様にオイシイ思いをさせますのでっっっ!!! 成長=キョー子ちゃんの演技。 社さんはその後大丈夫だったんだろうか・・・、と 書いていて心配になった私です(笑)。 本当に、素適なリクでしたのに、長いわりに内容の無い 小説となってしまい申し訳ありませ〜んっ! 受け取ってださると嬉しいです!返品&苦情も 承っております!!!![]()
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